人間は誰でも、子どもから大人に変わろうとするとき、重苦しい情緒の不安定な時期を体験します。思春期というただでさえ動揺することの多いこの時期に、負荷の強いストレスがかかったり、その解消のはけ口が見付けられないと不登校、家庭内暴力、非行などの行動に走るのではないかと思われます。
LD児だからこのような傾向が多く見られたり、また、重度の子どもに現れやすいのではという心配は無いと思います。しかし、最近は不登校等がLD児にも見られるようになってきました。
授業についていけなくなったこと、友達がいないこと、一番信頼している肉親から十分な理解が得られないことが原因として考えられ、いわば自分を取り巻く世界全てが自分と無関係に動いていると感じ、自暴自棄になってしまうからだと思われます。
そういう気持ちを心の奥に隠し、耐えている子どもに親が叱っても、本人の心の奥には響きません。逆に本人の叫び声を無視することにつながってしまうでしょう。
原因を冷静に考えて、本人の前にある壁を一つひとつ解消していく地道な努力が親として一番大切です。自分という人間が家庭でも学校でも認められ、個人として正当に理解されていたいという本人の存在感を満たすことが、親としての基本的な姿勢だと思います。