かつては夫の役割は社会に出て収入を得て、家庭生活の経済的基盤を作ることであり、妻の役割は夫から渡された基盤で家事をうまくこなすことと言われてきました。子どもが生まれ父親となっても、子どもの世話、しつけ、教育は家事全般に含まれて母親の分担と勝手に決め付けている父親が結構多く存在しました。
しかし、LD児を持つ父親の多くは、少なからず自分の子どもの異常に薄々気付いており、母親が一生懸命に動き回っていることも十分認識しているはずです。ただ、父親として何をしていいのかわからない状態なんだと思います。父親にその役割を理解させるのは、妻としてまた母親としての役割だと思います。
まず、LDについての知識、教育、行政の対応の現状と、自分たちの子どもが学校や遊びの中でどれだけ寂しい思いをし、苦しみ、耐えているかの現実を率直に話しましょう。共通の認識ができたら、現状を乗り越えるのには母親の努力だけでは限界があり、父親の協力が絶対必要で、その結果が大きな効果をもたらすものであることを分かってもらいましょう。
学校に対して子どもにふさわしい指導のお願いをする場合に、儀礼的な挨拶は父親がし、具体的な要望は母親がする場合と、母親だけが全てを行うときとは学校の対応が全く違うといわれています。
思春期を迎える年頃の男の子の対応は、母親では分からない世界のことであり、自分でも経験してきた父親でなければできないことです。子どもとのコミュニケーションの機会を多く持つことが大切です。 尻込みしている父親をスタートラインまで連れてくるのも妻として母親としての役割です。