一般的に親が陥りやすいことは、気持ちがどうしてもLD児に偏り過ぎて、兄弟への関わり方がおろそかになることです。兄弟がLD児の上か下かによって、兄弟たちの感じ方は異なった形になってくるかと思います。低年齢の場合では、母親に甘えたい、お話ししたい、遊びたいといった子どもとして当たり前の気持ちが「今忙しいから一人で遊びなさい」などと拒否され、欲求不満に陥ってしまうことが往々にしてあります。
自分は嫌われていると思ってしまうかもしれません。親の見ていないときにLD児に対して仕返しするという事例もあります。
同じ学校に通っている場合は、兄弟が他の生徒とは違うことを否応なしに感じざるを得ない状況に置かれていると思います。また、残酷な冷やかしにあってつらい思いを経験しているのかもしれません。
確かにLDは手のかかる子どもですから、どうしても親の気持ちはLD児に集中してしまいがちです。また、親は兄弟にLDに対する知識や理解度を自分たち大人と同じレベルで持っているようについつい期待してしまいます。
しかし、親の愛情は子どもに平等に注がれるべきですし、兄弟には親は常に自分のことを思ってくれている、と安心させるように気を配りましょう。愛情の欠乏に陥った兄弟にはその回復のため、LD児以上に心配りをしなければならない事態も考えられます。
母親一人で子ども全員に均等に配慮することは大変です。このようなときには夫婦の連携、父親の協力が必要になります。夫婦で兄弟全体のことをよく話し合い、連携して子どもたちと接することが大切です。
いつかは兄弟にLDのことを話さなければなりません。前に述べたように彼らは漠然としてですが、うまくやっていけない兄弟がいることを認識しているはずです。その現実を宿命としてではなく、家族全員が一緒にまとまれるテーマとして話し合っていきたいものです。